「私、認知症かも?」と不安にさせる「もの忘れ」、最近ありませんか? [No.130]
こんにちは。 Brain100 studioです。
先日名古屋市のイオンモールで、弊社の「脳健康VR測定の体験会」を開催いたしました。沢山の方にご参加いただき、体験を終えてからも率直なご意見やご感想を直接伺うことができて、とても貴重な体験会となりました。日頃気にされている点やご心配されている点として頂戴したご質問の一部をテーマに、今日はお話しさせていただきたいと思います。
40代から80代まで幅広い年齢層の方々が体験を希望されましたが、皆様よく言われていたのが、「最近もの忘れがひどく認知症になっているか心配で試してみたいです」という声でした。
そこで、もの忘れと認知症による記憶障害についてお話ししたいと思います。
歳を重ねると、最近もの忘れが増えた・・・と自分でも感じることが時々あります。これは誰にでも起こり得る自然な現象です。しかし、認知症が原因となる記憶障害は加齢によるもの忘れとは大きく異なるので、どちらが自分に当てはまるのか早期に知っておくことはとても大事です。

◾️記憶障害とはどういった状態か
記憶障害とは自分の体験した出来事や過去についての記憶が抜け落ちていくことです。
もの忘れはよく短期記憶障害と混合されるのですが、短期記憶障害の原因は記憶を司る海馬の異常です。疲労が溜まって記憶が飛んだりすることがあるのは、脳疲労がピークになると脳の中の海馬が身体を守るためにヒューズを一時的に飛ばすので、一時的に記憶損失が起こりやすくなるといわれています。
そして、一時的な記憶損失は一般的にも認識されている認知症の方に出てくる症状の一つでもあります。認知症の場合は、記憶が抜け落ちている自覚はなく、日常生活にも支障が出てきてしまいます。一方、もの忘れの場合は、忘れているという自覚があるので認知症による記憶障害とは異なります。
◾️記憶力は何歳がピーク?
そもそも記憶力は何歳の時にピークを迎えるかご存知ですか?
一般的には20代で記憶力のピークを迎えると言われています。そして、そのあとは歳を重ねていくうちに記憶力は衰えていきます。還暦を迎える頃にはさらに判断力や適応力も衰えていく傾向があり、少しずつもの忘れが増えていきます。加齢によるもの忘れは自然の老化現象なので特別な治療は必要ありません。
しかし、認知症によるもの忘れは老化現象とは別物です。加齢によるものなのか、認知症が原因なのかを見極め、早期発見して早期に対応を考える必要があります。

◾️認知症による記憶障害
繰り返しになりますが、認知症による記憶障害の大きな特徴は、「忘れている自覚がない」ということです。
実際体験したこと自体を丸ごと忘れてしまい、自分がその体験を忘れているということすらもわからなくなるのです。
子供時代、勉強している時に私は親によく言われていたことがあります。こんなことを言われませんでしたか?ただ教科書を眺めていても頭に入らないよ、と。
記憶するまでのメカニズムは、「記銘・保持・想起」と言われています。つまり、覚える・維持する・思い出す、から成り立っているわけです。
認知症の人はこの記憶する力がまず最初に衰えてしまい、そもそも体験したこと自体を忘れているので、何か思い出すためのヒントをあげても思い出すことはできないのです。
認知症によるもの忘れの代表的な症状
- 何度も同じ話を繰り返す
- 食事したことを覚えていない
- 約束したこと自体を覚えていない
- ものを片付けたことを忘れて盗まれたと思う
- 買い物へ行ったことを忘れて同じものを買ってくる
■もの忘れによる記憶障害
もの忘れは加齢や認知症以外に同時に複数のことを脳が処理しなくてはならないような忙しい時に起こります。それを「失錯」といいます。失錯は脳が処理し切れずに一部の記憶が飛んでしまうのです。
他には、寝ていたら夜中急に起こされて自分がどこでどうなっているか一時的に記憶が飛んでしまうことを「せん妄」といいます。これは意識が混乱して短期記憶が失われてしまい起きることです。こうした場合の記憶障害は一時的なもので、認知症の症状とは違います。
老化によるもの忘れの代表的な症状
- 知っている芸能人の名前がすんなり出てこない
- 済ませた食事の内容を思い出せない
- 約束をうっかり忘れて後で気づく
- 物をどこに片付けたか忘れて探さなくてはならなくなる
- 買おうと思っていた物を買い忘れる
認知症の場合ともの忘れの場合で例を出してみます。
キッチンの灯りをつけっぱなしにして家を出てしまった場合、もの忘れの人は何かのヒントで思い出すことができます。しかし認知症の人はそもそもキッチンの灯りをつけっぱなしにしていたこと自体を覚えていないので、ヒントがあっても思い出すことができません。

◾️認知症による記憶障害の進行
認知症の人は、短期記憶から低下していき、次に長期記憶が低下します。
短期記憶とはついさっき話したことなど直近の記憶です。新しい記憶を保管している海馬の機能が低下すると、直近の記憶を忘れてしまうという障害が出ます。
そして次に、長期記憶とは過去の記憶です。ここが低下すると、自分の学歴、家族の名前など一度覚えたら長い期間記憶されるはずのことを忘れてしまうのです。
いかがでしたでしょうか?ご自身に当てはまるものはありましたか?
本人が心配になって、最近もの忘れが多いから受診した方がいいかもしれないと感じているケースでは多くの場合、加齢によるもの忘れが原因と考えられるといわれています。その理由はもうお分かりですよね?認知症による記憶障害であれば、そもそも最近もの忘れが多いということ自体感じていないのですから。
最後になりますが、もの忘れを加速させるものって何でしょう?
もの忘れを加速させていく原因として考えられるのが生活習慣の乱れといわれています。高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかっている方はもの忘れが悪化するリスクが高いといわれています。
加齢は止めることはできませんが、もの忘れをひどくしないためにできることはあります。生活習慣の改善はいますぐにでもできることです。
もの忘れを加速させないためにも今一度ご自身の生活を振り返ってみて、生活習慣を見直してみませんか。

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